ビジネス関係

2011年4月29日 (金)

飲食店経営の難しさ

当事務所のお客様の中にも何件か飲食店業の方がいますが、月次処理などをしているとリーマンショック以降落ち込んでいた売上もほぼ戻りつつあると感じます。ただ今回の震災で過剰な自粛ムードが広まってしまうことが懸念材料です。

で、リーマンショックや、今回の震災があったから言うわけではないのですが、飲食店経営は外から見るほど簡単ではありません。

料理が得意な方は男女問わず多いと思いますが、それを商売にするとなると経営センスが必要になります。

なので、「数字苦手だニャー」という方は自分で勉強するか、数字に強いブレーンを抱えなければなりません。

で、どんな点が難しいのかですが、
・売上予測が立てにくい
基本的に店を構えて、お客さんに来てもらうという「待ち」の業態なので、日々の売上予測が立てにくい(夜営業の居酒屋・バー等では曜日によって、金曜は多いが、月曜は少ないなどある程度の予測は可能)。また今回のような景気の影響を受けやすい。

・在庫ロスが発生しやすい。
上記の「売上予測が立てにくい」とも関連しますが、どれだけお客さんが来るかが予想できないため、在庫は常に多めに持っておく必要があります。しかも、野菜や生もの食材などは予測が外れると廃棄処分をする必要があるため小売店と比べて在庫ロスが発生しやすく、その管理が非常に難しい。
例えば寿司屋なんて在庫1個あたりの単価は高いわ、生ものだから(冷凍ものでも)ロスしやすいわで新規開業しようという人は余程のチャレンジャーだと思います。

・初期投資・ランニングコストが高額
居抜きで賃貸する場合を除き、機械や内装などに1千万以上の設備投資が必要。コンセプトを固めておしゃれな店にしようなんて考えると数千万レベルに。
また飲食店はある程度人の集まるところに出店しなければ売上が上がってこないため、家賃が高額になりやすいですし、また常に店を清潔に保っておかなければならないため、清掃等の維持費も含めランニングコストがそれなりにかかります(店が広いとお客さんが来る来ないにかかわらず人も大量に雇わなければならなくなりますし・・)。

かなり大変であるのが分かっていただけたでしょうか?

でも、駄目駄目とだけ言ってみてもしょうがないので、一方の飲食店業のメリットも考えてみましょう。

・粗利益率が高い。
飲食店業の粗利益率(売上高-変動費(売上原価等)/売上高)はおおむね60~70%ですので、売上高のボリュームを増やすことができればかなり儲かります。

・現金商売なので過剰債務がなければ資金繰りは楽
食材の仕入れなどは掛け(買掛金)で行い仕入れ月の翌月払いなどですが、売上はすぐに現金で入ってくる(クレジットカードも増えていますが、回収サイトは30日未満と短め)ため、資金繰りは比較的楽な業種です。
ただどんな業種でもそうですが、固定費がかかりすぎとか設備投資しすぎて借入金の返済がかなりあるとかいう場合は、当然飲食店業でも資金繰りは厳しくなります。

なので、結論としては初めて飲食店を開業しようと思われる方は、リスクを小さくするため
1)初期投資、ランニングコストを抑えるために小さめの店舗にすること。
2)できるだけロスの少ない食材を扱える業種にすること。
3)価格設定は上記の粗利益率60~70%(できれば70%前後)をとれるように設定すること。

などを気をつけてください。
あと、3)にも関連しますが、店のネーミングも大事です。

特に夜営業をする場合、例えば「お好み焼き屋」よりも「鉄板焼き屋」、「ラーメン屋」よりも「中華料理屋」といったようにお昼のメニューを看板に掲げてしまうと、お客さんの中で大体の価格設定をしてしまうため、商品単価を上げにくい(=客単価を上げにくい)という問題が生じます。

飲食店で味はもちろん大事なのですが、経営する以上マーケティングや資金繰りはもっと大事。
味だけで勝負すると痛い目を見ますのでお気をつけ下さい。

<関連記事>
資金繰管理の重要性




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2010年12月13日 (月)

オフィスって何だろう?〜会計事務所のノマドワークスタイル〜

先日フリージャーナリストである佐々木俊尚氏が書かれた「仕事をするのにオフィスはいらない」という本を読みました。

この本でノマドワークスタイルとは特定のオフィスを仕事場とせず、遊牧民(ノマド)のように場所を転々としながら仕事を行うという働き方である定義されています。

また佐々木氏はブロードバンド、サードプレイス、クラウドサービスをノマドワークスタイルを支えるインフラであると位置付けています。

※ブロードバンド:クラウドにアクセスするための高速インターネット回線、サードプレイス:発想力・創造力を向上させる仕事場や自宅以外の第3の場所、クラウドサービス:情報・データの保管・ソフトの提供等のweb上で提供されるサービス

確かに、ipadやネットブックなどの端末の性能向上、無線LANなどの回線速度の高速化によりモバイルインターネットが普及した今日、仕事場というのは急速にその意味を失いつつあるように思います。

それは仕事の内容自体が事務処理能力ではなく、発想力・創造力を必要としたものに変化しつつあることを意味しているように思えてなりません。

会計業界にもその波が押し寄せていて、人海戦術が有効だった記帳代行業務は、人件費の安い海外へとシフトし始めています。

税理士などが顧問会社に訪問して仕事を行うスタイルが定着してくるのなら、立派なオフィスは必要ないのかもしれません。

そこで、未来の会計事務所のワークスタイルを妄想してみました。

1)自社で日々の会計処理を行っている会社に税理士が訪問して記帳内容をチェックする。
間違いがあれば訂正し経理社員に伝える。

2)データはブロードバンドで自動的にクラウドにアップロードされる。試算表の作成・経営分析はワンクリックで行え、経営者にipadなどの端末画面を見せながら経営状態、予算執行状況等を説明する。

3)税務申告は会社の空いている机を借りて作業する。
必要な資料は全て会社に保管されているから資料確認もスムーズ。
税務ソフトも会計ソフトと同様クラウドサービスで提供されており、申告に必要なデータは会計ソフトから取り込むことができる。

4)よほど難しい申告でなければ、1、2時間あれば税額が確定できる(もちろん毎月キチンと会計処理が行われている前提)。インターネットで税制の確認も可能なので、分からないことがあってもその場で確認が可能。

5)税額確定したら経営者に納税額の説明・資金繰りの相談。
OKが出たらそのままe-tax、eltaxで申告データを税務署等に送信。すぐに受信通知が返ってくるので、申告データとともに電子データで控えを顧問会社に渡す。

6)納税も申告時にダイレクト納付で設定をしておけば、納付期日に顧問会社の銀行口座から自動引き落としがされる。なので納付書の作成も不要。

ということで、一部妄想も入っていますが、紙も全然使わないし、郵送もしなくていいから事務所に一旦戻って、といったことも無くなり会計事務所の仕事が非常に効率的になると思います。

今現在のネックとしては、まだまだ満足できるレベルのクラウド機能がある会計、税務ソフトが(それなりの値段で)普及していない点と、まだ都道府県の中にはeltaxにより電子申告・電子申請サービスが提供されていない地方公共団体があるということでしょうか。

これらの問題がクリアできれば、オフィスを持たない会計事務所が実現する日は近いと思います。
会計事務所の三大経費は家賃、ソフト代、人件費ですから。

ただ個人事業のお客さんの中には「来ていらん。こっちから行くわ」とおしっしゃられる方もいるので、中々悩ましいところです。。

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2010年10月26日 (火)

講師というおシゴト

昨日、士(さむらい)クラブの10月例会に参加しました。

テーマは「士業のための講師力基礎講座」で、中小企業診断士の上田実千代先生による講演。
つかみの10分の使い方、アイコンタクトの重要性、専門分野の商品化、単品完結セミナーと本業PRセミナーの使い分け、講師を引き受ける際の留意点など、非常に勉強になりました。

特に目からうろこだったのは、主催者からの依頼があって講師をする場合、ポイントポイントで集客状況を確認して苦戦している様子なら、その手助けをする等、次からも「お願いしやすい講師」になるというお話や、セミナーのテーマが自分ができない分野の内容なら、単に断ってしまうのではなく、できる人を紹介して主催者との関係をつないでおくというお話でした。なるほど~という感じです。


ありがたいことに、私も今まで様々な場所で、話をする機会をいただいていまして、その経験を踏まえて講師という仕事について色々を考えてみました。

巷で数多く行われているセミナー・講演・講義の形には2種類あると思います。

一つは、大学受験、資格試験等の受験指導のための講義。
もう一つが、ビジネス系、ノウハウ系等の、経営・実務・生活等に即役立つ講演。

前者は、知識を伝えるもの(知識系)で、後者は考え方、やり方のきっかけやノウハウを紹介するもの(ノウハウ系)です。
傾向として、前者は複数回に亘って時間をかけて行うものであるのに対して、後者は単発のセミナーなどで多く見られるテーマです。(なかには例外もありますが)


私の例で言えば税理士受験指導専門学校での毎週の講義は前者、大阪府工業協会さんや大阪商工会議所に呼ばれて行う単発セミナーが後者の位置づけです。(受験指導校でも「受験希望者向けの「税理士実務家講演会」などは後者に該当します)


この形式の違いによって、講義の進め方は全く異なります。
知識系であれば、合格に必要な知識等を正確にいかに効率よく伝えるかに重点が置かれますので、テキスト・レジュメの作りこみが必要になりますし、難しい内容をいかにわかりやすく簡単な言葉で伝えるかという点が大事です。

参加者は元々勉強をしようと思って参加しているため、モチベーションを高めるような工夫はそれ程必要とはされません(全く必要ないというワケではないですが)。


それに対しノウハウ系は、即役立つ情報を入手したいというセミナー参加者からの要望が強いため、実益のある情報の提供であったり、即実行に移したくなるようなモチベーションが高まる内容にしなければなりません。

また、難しい言葉を使わずにというのは知識系と共通していますが、知識系に比べさらに専門用語の使用などは慎まなければなりません。

ノウハウ系では元々勉強ぎらいの人が参加していることも多く、お勉強的な内容にしてしまうと、強力な睡眠導入剤となって、途中から目をあわせてくれなくなる参加者が続出することでしょう。

そういう意味では参加者を自分の話に引き込む話術(ネタ?)も必要となりますが、私も含め専門家と呼ばれる方が行う講演ではこれが苦手な人も多いように思います。(逆に話術を持ってる専門家は最強ですね)

実際私も、過去にノウハウ系セミナーで勉強ネタをしてしまうという失敗をしてしまったことがあり、今では非常に反省しています。(原因としてセミナータイトルだけではどちら系かの判断が分かりにくかったことがあるのですが)


したがって、セミナーを成功させようとする主催者の方は、企画段階でどちらの類型に属する内容のものなのかを明確にしてカリキュラムを組んでいくといいと思います。

ただ、知識系では資格取得とかの目的がある場合以外は、セミナー後の専門家による無料相談会を開催するとかの工夫がないと中々集客が難しいですね。

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2009年10月16日 (金)

多角化戦略とタイミング

今朝電車に乗っていて、某有名英会話学校が航空業界向けの専門学校を設置してセミナー開催をしていることを知りました。

確かに国際線の乗務員であれば、語学力が必須なわけで、なるほどうまい組み合わせだな、と感心させられました。

企業が行う多角化戦略は、今回のように元々営んでいる業種と類似・関連した業種に進出する場合と、全く関連の無い業種に進出する場合に分けられます。

関連業種に進出する場合、今までのノウハウが活かせる反面、似たような業種だとその業種自体の市場規模が縮小してしまうと、共倒れになってしまうというリスクがあります。

逆に無関連業種に進出すると、共倒れリスクは限定的ですが、ノウハウがなく失敗する確率が高くなってしまう危険性があります。

いずれにしろ、多角化をする場合は失敗したときのことを考えて、本業に利益が出ている資金繰りに余裕のある時に行わなければなりません。

余裕があれば、事業撤退の決断も迅速に行なうことが可能だからです。
将来性があると判断できれば、今は赤字でもしばらくの間本業の利益で支えることもできます。

本業が厳しいから、借金して新事業に進出しよう。では残念ながら成功の可能性は低いと言わざるを得ません。

株も為替も借金も余裕があってこそ。

余裕のゆうちゃんもそう言っています。

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2009年6月 3日 (水)

経営者になりきれない職人の話

5月申告も無事終了したナカジマです。

昨日からたまっていた月次処理をしつつ、今度は6月申告の準備。

自分で申告処理をしているといつも思うのは、

「所長自ら申告してちゃ、いけないよな~」

ってことです。

そう、本当の経営者になりきれていない。いわば職人気質が染み付いてるわけですね。

「社長が現場から離れられない会社は伸びない」

「社長は社長しかできない仕事をするべき」

「社長は何かあったときのために常に自由に動けるようにしておかなければならない」

お客さんにもそうアドバイスし、自分でも重々分かっているつもりなんですが、中々現場から離れられないのが最近の悩みです。

先行投資と考えて人員補充し、今自分がやっている仕事を任せられる人材を育てないといけないのですが、それも忙しさを理由に伸ばし伸ばしになっているという悪循環。

まとめてしまうと、税理士という仕事が好きってことなんですが、さすがにこのままでは事務所の成長が頭打ちになると思い。。

ようやく重い腰をあげることにしました。


夏ごろを目安に採用活動を始めていこうかと思います。

そのころには事務所の体制にも動きが出てきそうですし。

詳しい話はいずれまた、このブログ又はHPでお知らせします。

ではでは。

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2009年4月27日 (月)

サイボウズ Office8導入

久々の更新です。。

今月は決算・申告業務は多くなかったのですが、3月、4月決算・申告に向けての打ち合わせが入っていたり、

税理士業務以外で外部の方との打ち合わせが多かったため、中々の仕事量でした。

その中でも業務改善プロジェクトのひとつとして、現在「サイボウズ Office8」の導入を進めています。

「サイボウズ Office」はサイボウズが提供する総合グループウェアのソフトで、
比較的安価で使えるソフトとして中小企業を中心に導入が進んでいます。

サイボウズによると、グループウェアとは「企業内の情報共有やコミュニケーションの活性化による業務の効率化を支援するソフトウェア」とされています。

その機能は単なるスケジュール管理ソフトではなく、企業内のデータベースと社内メール等のコミュニケーションツールが統合されたソフトで、様々な機能が有機的に結合することで、単なるスケジュール管理ソフトでは実現不可能な情報の共有化・業務の効率化が期待できます。

4~5年前(開業当初)その機能に興味があってセミナーを聞きにいったりもしたのですが、
当然開業当初なので、従業員なし。使う人は自分一人。。

グループウェアの必要なし!
ということで、「将来使いたいな~」という思いで、その便利さだけを認識して帰ったのでした。

それが今回、業務提携している森本事務所から一緒に情報共有化を図るため、導入の話が再び出てきたのです。

「サイボウズ Office」の導入にあたっては、
以下のどちらで導入するかが検討事項となりました。
①ソフト買取、自社サーバーを用意する。
②ASP(SaaS)で、サーバーレンタル、毎月利用料を払う。

①の方がランニングコストは低く抑えることができるのですが、サーバーを用意しないといけない等初期投資が膨らむとともに、そのメンテナンスも大変だということで、

今回は②のASP方式を採用することとなりました。

採用した、とはいっても、今後、業務内にうまく浸透させることができるかどうかは、使う側(特に従業員さん)が「便利」だと感じて、積極的に使ってもらえるかどうかにかかっていると思います。

以前聞きにいったセミナーで現社長(当時は副社長)の青野さんは、

「スケジュール管理で従業員の方が社内の飲み会の予定を入れだしたら、導入は成功です!」「目くじら立てて怒らないで下さい」

とおっしゃっていたのが印象的でした。

確かに楽しんでできれば、成功は間違いないですね。

今回の導入にあたって参考にしたいと思います。

税理士 大阪 コンサルティング  中嶋聡税理士事務所
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<p><p><p>スライド 3</p></p></p> 

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2009年4月 8日 (水)

税理士のブランド戦略

今日は
午前中にHPからお問い合わせのあったお客様と面談、

午後からM&A仲介会社の営業さんと面談。

その後4月申告の法人の申告書作成をしていました。

面談に関しては中嶋事務所が特化していこうと思っているテーマに関してのものだったので、非常に有意義でした。

しっかりニーズがあるんだなと認識できたのでよかったです。

税理士業に限らずですが、多くの税理士の中から選んでもらおうと思えば、差別化が必須です。

差別化には何か「その事務所でなければできないこと」「○○といえば~事務所」といったウリが必要です。

コンサルティング用語でかっこよく言えば「ブランド(ブランディング)戦略」といったところでしょうか。

よく開業したての税理士がよくやるミスとして(僕もそうでしたが)、仕事が欲しいばっかりに、
「何でもできます!」「何でもやります!」と言ってしまいがちなのです。

「○○ができます」と言ってしまうと、それ以外の仕事が入ってこない気がしてしまうんですよね。

しかし、それでは、差別化は不可能です。

「何ができるの?」と聞かれたときには、
やはり「○○ができます」「○○については得意です」と言いたいものです。
訴求力が全然違います。(実際にはそれをきっかけに色んな仕事をこなせばいいわけですし)

結局
「何でもできる」は、自分の特徴を打ち出せてないわけですから、仕事を依頼する側にとっては何を頼んでいいかわからない、極論すれば「何にもできないのと同じこと」になってしまうのではないでしょうか。

人柄のよさでお客さんが増えていた時代は終わりつつあるように思います。

税理士といえども営業については真剣に考えていかなければ生き残っていけません。

そんなときに「○○が得意です」と言ってみたいですね。

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2009年3月26日 (木)

資金繰り管理の重要性

こんにちは。確定申告明けでしっかり風邪を引いていたナカジマです。

まだ少し咳が残っていますが、だいぶましになりました。

本日は午前中にお客様を訪問し、午後から事務所内での打ち合わせ等々。

午前中に訪問したお客様は、このご時勢にすごい勢いで売上を伸ばしている会社です。
すばらしいですね。

ところが、経理の方のお話をお聞きすると、

「お金があんまりないんです。。」

と心配そうな顔。

原因を追究してみると、元々売掛金の回収サイトよりも買掛金の支払サイトが短いところに一気に取引量が増えたため、運転資金が苦しくなっている様子。

加えて仕入れでは特別な商品(一社の仕入先しか扱っていない商品)は、先方が強気で現金取引しか認めてくれないとのこと。

これらが重なって上記の発言となったのでした。

中小企業では、取引条件が厳しくケースが多く、大半の会社がこのような状況にあるのではないかと思います。

解決策としては、
①回収サイトを短く・支払サイトを長くできるように交渉する。
②利益率を上げる。
③回収・支払のサイト差が生じる期間の運転資金を調達する。
④過剰在庫が発生しないように得意先のニーズを細かく把握する。

等でしょうか。

まず①サイト交渉ですが、そもそも中小企業は交渉力が低いので現実問題として中々厳しい手段だと思います。
しかしながら、「チリも積もれば山となる」ではないですが、交渉で1週間、1日でもサイト差が改善されれば、必要な運転資金(+調達・返済コスト)が少なくなるわけですから、ダメもとで各社あたってみるべきだと思います。
さらに上記の特殊な商品のくだりからも分かるとおり、めんどくさがらずにその商品を扱う仕入先をなんとか開拓して、調達先を複数持つことによって交渉力を高める努力をするべきでしょう。

次に②利益率を上げて儲けを出し、その余剰資金をプールしておく。これができれば理想的です。このためには、利益率の低い商品にはあえて手を出さないという決断も必要になります。手間だけかかって、経営リスクが増えては元も子もないですからね。

③サイト差の改善が見られないようなら、運転資金を調達する必要があります。②の方法は自分で運転資金をプールしておく方法でしたが、現在手元に資金がない場合、金融機関等からの融資に頼らざるを得ません。
経営リスクを抑えるためには、できるだけ金利の低い公的金融機関等を利用して資金調達を図るべきでしょう。

④儲かっているのに資金繰りが悪化して倒産。。これの典型的な原因が過剰在庫の存在です。売れれば現金化できるはずが売れ残って、支払いの請求書だけが残る。
こんな最悪の事態をさけるためには、在庫の管理は非常に重要です。
商材によっては適正な在庫量の判断が難しい場合もありますが、一般的に調達リードタイム(調達に必要な日数)が短い商材ですと、在庫はほぼ無くてもOK。
究極は注文があってから仕入先に発注すれば、限りなくリスクを抑えることが可能です。
その場合にも、注文があったけど途中でキャンセルになる場合のリスクは考えておかなければなりません。

他の会社にも販売できる商品であればかまいませんが、転売できない特殊な商品の場合は、契約書を結んで、どたキャンのリスク回避に努めるべきでしょう。
特殊な商品の場合は逆にこちらの交渉力も強いはずですし、新規の取引先なら契約の締結に同意を得られやすいと思います。

以上思いつくままに資金繰り改善策を列挙してみましたが、この情報が少しでも中小企業経営の役に立てば幸いです。

追伸:今回は久しぶりにビジネスブログらしい内容でしたね。。


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2009年1月30日 (金)

経営承継円滑化法 勉強会

今日は17時から事務所内(森本事務所と合同)で経営承継円滑化法の勉強会をしました。

私が講師の予定だったので、昨日は一日レジュメ作りに没頭していました。

実は月曜日にも別の勉強会で説明したのですが、今回は会計専門家向けということで、適用要件等も細かく確認し、また納税猶予制度を重点的に解説しました。

適用要件や手続きが多くややこしい制度ですが、概要はつかんでもらえたかと思います。

また21年度の税制改正法案が成立すれば細かい話も決まってくると思いますので、再度勉強会を開催する予定です。

そのときは外部の方もお招きしてセミナー形式でやりたいですね。

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2009年1月28日 (水)

自分メールについて

趣味といえば、読書、映画鑑賞、パソコンいじりと、インドア派の王道をいくナカジマです。

最近は仕事も忙しく、本を買いに行く暇もないので中々読めていないですが。

前はちょこちょこ一冊ずつ購入していたのですが、最近は行けるときにまとめ買いしてる感じですね。

読書のジャンルとしては、
1.本格ミステリー等の推理小説
2.ビジネス・ノウハウ本
3.パソコン雑誌
4.漫画

のほぼ4つです。購入数の多い順番もこのとおりです。

1.と4.は単純に自分で楽しむためなのですが、2.と3.は仕事に活かせる情報を入手するのが目的です。

最近買ったビジネス本は野口悠紀雄さんの『超「超」整理法』です。

野口さんと言えば「超」整理法、や「超」勉強法などが有名ですが、大学の教授とは思えない分かりやすい文体なので読みやすく、よく購入しています。

ちなみに「超」勉強法は学生さんにおすすめですね。これを読むと学校の成績あげるのなんて簡単って気がしてきます。

今回の『超「超」整理法』ではメールを使った情報整理術について多く書かれていました。

これまで、自分メール(仕事のスケジュールや思いついたアイデアを自分のアドレスに送信しておくこと)の有用性については様々な方が語り、実行されていますが、野口さんはそれをさらに進めて、アイデアだけではなく、あらゆる情報を自分メールすることを推奨されています。

電子データになっていないものはスキャナで電子化してでも!(本の中ではスキャナするのは結構めんどくさいので、相手から電子データでもらえるのが一番いいとおっしゃられてます)

そうすることで、自分だけの情報リストが自動的にできあがるわけですね。

あとで資料を取り出そうと思えばメールソフトで検索すればいいわけです。メールにつけた件名が分からなくても、送信日時や送受信したメールなら相手先名でも検索ができます(ここまでやればたいていのデータが見つかります)。

またメールデータがサーバーに残るwebメールを使えば、インターネット環境さえあればどこにいても情報を取り出すことが可能です。

今はGoogle等でメールアドレスやサーバースペースは無料で提供されていますので、コストをかけずに実践することが可能です。これも非常に魅力的ですね。

ただ唯一の懸念が情報流出です。

自分が執筆している原稿等のデータなど、流出しても大して困らないものならいいんですが、職業柄お客さんの会計データ等は絶対に流出させてはならないものですから、この自分メールのシステムに載せるのは非常に抵抗があります。

となると別途有料でセキュリティの効いたサーバースペースを借りるか、データ(ファイル)自体にパスワードを掛けるかして対応せざるを得ないですね。

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