個人申告漏れ224億円~外国為替証拠金取引(FX)
本日の日経新聞 朝刊によると
今年6月までの1年間(18年7月~19年6月)に行われた税務調査によって外国為替証拠金取引による所得の申告漏れ総額が224億円(調査対象1030人で一人あたり申告漏れ額は2,176万円)に上ったそうです。
外国為替証拠金取引は、簡単に言うと外貨預金と同じように円を他の通貨に換え、為替差益やスワップ金利(円と他の通貨との金利差から生じる利息部分)による収益を得られるという金融商品(取引)になります。
外貨預金との決定的な違いは、FXは信用取引の一種であるため、元手の数倍から数百倍の取引を行う(レバレッジをきかせる)ことが可能となっている点にあります。
そのためハイリスク・ハイリターンなイメージをもたれる方も多いようです。
まぁ・・・。レバレッジは自分自身でコントロールできるんですが、人間の欲とは怖いもので、気がつくと大きな利益を狙って十数倍の取引を行ってしまってるんですよね・・。
株式に関しては市場で取引した場合証券会社等が税務署に報告書を提出する義務があるのですが、FXに関しては相対取引に関するFXの仲介業者には報告義務がないため、所得の把握がしにくいようです。
だからといって
「ちょっとぐらいごまかしても分かんないだろう」
とは思わない方がいいです。
税務調査が行われれば通帳から何から調べ倒しますんで。
あくまでも「把握しにくい」のであって「把握できない」わけではないのです。
最近、国税庁の方でもFXやインターネット販売に対する調査を強化する動きがあるようですが、ここまで広まってくると当然かもしれません。
正直に申告するのが一番です。
いい大人が冷や汗かいたり、怒られたくないですもんね。
ちなみにFXで得られた利益は、現在、主流の相対取引(くりっく365などの取引所取引以外の取引。)では、所得税法上、雑所得に区分され、給与所得や事業所得などと合算されて所得税の課税(総合課税)が行われることになります。
(当事務所のHPでも詳しく解説していますので、ご覧下さい)
雑所得に分類されると、利益が出た場合は他の所得と合算して課税されますが、損失が出ても他の所得と相殺(専門用語で損益通算といいます)できないことになっています。
今年の4月にFX取引で4億円の脱税をして逮捕された主婦が脱税をするに至った理由を
「利益がでたら課税されるのに、損失がでても相殺できないのは不公平だと思った」
と言い、これに対し裁判官が
「納税意識が欠如している」
と一喝したらしいのですが、一般人の見解としては主婦の意見はもっともだと思うんですが・・・。
そんなことも影響してかどうかは分かりませんが、現在、金融所得の一体課税の構想もでてきているようです。
(どうやら、利子、配当、株式の譲渡所得等を一本化して「金融所得」という所得区分を新設する案らしいです)
最近の税制改正は、税収の増減の辻褄合わせみたいな感があるので、今後は真の担税力を考慮した課税の公平を実現できるように議論していってもらいたいものです。
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